曙橋人 第2回 [住吉町商工会長 三輪政憲インタビュー]

あけぼのばし通り商店街でよく見掛ける“街の人”を紹介する【曙橋人】のコーナーです。
商店街は、商品やサービスを提供しているだけでなく、地域の子どもの見守りなど安心安全の要でもあり、高齢者が集う場となるコミュニティの核でもあります。その人の輪を作っているのは、“街の人”です。
今回は、あけぼのばし通り商店街の会長に今年就任した住吉町商工会長「三輪政憲さん」のインタビューです。

簡単なプロフィール

氏名: 三輪 政憲 (みわ まさのり)
生年月日: 昭和37年(1962年)5月3日
血液型: AB型
趣味: 愛犬の散歩(イヴちゃんとクロスちゃん)

<写真01> 三輪さんの最近の様子

33年前、ここ曙橋で開業すると決心した。

商店街の会長に今年(2020年)から就任されました。
A そうなんです。
長年務められた大角会長がお辞めになるということで、お引き受けすることにしました。大角さんの次というのは、恐れ多いのですが。
会長を引き受けるに至ったきっかけや理由はあるのですか?
A ご存じかもしれませんが、あけぼのばし商店街に毎年2,000人の子供が集まっていた「あけぼのばしハロウィン」を昨年休止しました。また、他のイベントも開催できない状況となっています。商店街としての存在意義を問われる事態となり、微力ながらも30年以上お世話になった街に恩返しができればと思い、やらせていただけるならぜひということで引き受けさせていただきました。
商店街はなぜそのような状況に陥ったのですか?
A 一番の理由は、街路灯の修繕に多大な金額が必要となることが判明したためです。商店街のメンバーの一部からは「街路灯など撤去しては?」とも言われたのですが、街の方たちも明るい通りを歩きたいだろうと思い、何とか修繕する方向でメンバーに納得してもらったのです。
そうだったのですね。ここで話を変えますが、三輪会長は小岩の育ちだとか。
A そうなんです。もう下町の中の下町というか、隣近所が全員顔見知りで、良いことも悪いことも、近所中に筒抜けといった町でした。
それがどうして曙橋で開業することになったのですか?
A 接骨の勉強をして資格を取った後、新宿5丁目の山田整形外科で研修を受けさせてもらっていたんです。そこで治療をしていた患者様から「マッサージ店が退去したから、開業するならどうだい?」と誘っていただき、現在のところに開業することに決めました。
当時の曙橋の様子はどうだったんですか?
A フジテレビがあり、1日中通りに人が歩いていて、とてもにぎやかだったことを覚えています。

<写真02> 開店から少し後の店内での様子。

開業初期、一番苦労したのは何ですか?
A それが開業したときは、他の接骨院やマッサージ店も少なく、患者さんも多く毎日楽しくてビックリしたくらいです。
その頃のことで、一番印象に残っているエピソードがあったら教えてください。
A 1日中沢山の人が歩いていたので、友達が来た時に「今日はお祭り?」と言われたことがありました。(笑)
そんなに人通りが多かったのですね。隔世の感があります。曙橋の街の特長って何でしょう? この場所で開業を考えている方がいるかもしれないので、会長の思う“曙橋”のイメージを教えてください。
A 新宿の中心部から歩こうと思えば歩ける距離なのに、“下町”の雰囲気があることでしょうか。先ほども話した通り、私は下町育ちなので、あまりハイソな街は居心地が悪いんです。(笑)
確かに、この町には下町っぽい温かみが残っている感じがします。
A そう、みんな仲が良いんだけれど、外から来た人も温かく迎え入れてくれるようなところがありますよね。私なども、この町で生まれ育った人間ではないですが、町の人にかわいがってもらって、ここまで続けてこれました。

「柔道整復師」は国家資格

三輪さんは「柔道整復師」という資格を持っていらっしゃる。
A はい。この「柔道整復師」というのは、解剖学、運動学、病理学等の基礎系科目と柔道整復理論、柔道整復実技、関係法規等の臨床系専門科目を履修した上で国家試験を受け、合格しなくてはなることができません。
つまり、「理論」と「実技」の両方からきちんと勉強・研修をした方だということですね。
A そうなんです。意外と知られていないのですが、都道府県知事が指定した専門の養成機関(三年間以上修学)か文部科学省が指定した四年制大学で学んで、やっとなることのできる専門資格なのです。
私などは、このことを全然知らなかったので、マッサージ店か何かで長年修行というかアルバイトをして、ある程度技を身に付けたら「独立します!」ってお店を出すのかと思っていました。ごめんなさい。
A 仕方がないです。あまり知られていないことなので。ただ、一生懸命勉強して、実技も頑張って国家試験を通過してきた後輩のためにも、この「柔道整復師」に対する理解が進むとありがたいと思っています。
三輪さんは後進の指導にも力を入れているんですよね。
A そうですね。先ほどの話でもありましたが、真面目に努力した後輩たちを応援したいという気持ちは強いです。以前は、講師などもしていたのですが、昨年から新たな取り組みを始め、「臨床実習指導者」の認定を受けました。
それは、どのようなものなのでしょうか?
A 「臨床実習指導者」というのは、昨年(2019年)に創設された制度で、接骨を学ぶ学生が技術を習得するための実習を行う施設として当院が認定されました。
つまり接骨の技術が優れていないと認定はされない、ということですね? 学生さんが目指すべき技術を持っていないと、実習に行っても確かな技術が身に付かないですものね。
A そういっていただくと面はゆい気もしますが、そう思っていただいて結構です。(笑)
長い間、この道一本で身に付けてきた技術や経験については、専門家としての自負を持っています。この技術や経験、それに伴う知識については、患者様に還元するとともに、後輩にも伝えていきたいと考えています。

<写真03> 現在の店内の様子

真にお客様のためになる商売の仕方とは

三輪さんは、患者さんをすぐに整形外科に転院させると聞いたことがあります。それは何故ですか?
A すぐにという訳ではありません。患者さんの状態を判断して、必要だと思った時にです。
うちに来てくださって、診察させていただいたら、分かるんです、これは整形外科の処置が必要な患者さんだな、って。
でも、それって三輪接骨院の収入は減りますよね?
A 正直、そういう面はあります。同業者の中には、収入が減ることを恐れ、患者さんをずるずると手放さないところもあると聞きます。
ですが、それはやっぱり患者さんのためにならないのです。そして、患部が悪化すれば、結果、自分の評判が下がるというブーメランとして返ってきます。
商売が先か、信用が先か、難しい話です。ほとんどの他の業種でも当てはまるような課題ですね。
A そうだと思います。でも、やはり長く商売をしたいなら、信用をないがしろにしてはいけないと思います。我々は、患者さんを治して、報酬をいただくのですから。治すという目的に忠実であるべきでしょう。
話を少し戻しますが、転院の判断ってどのようにしているのですか? レントゲンとか医院にないですよね?
A これがなかなか、実は難しいんです。先ほど転院させない同業者がいるという話をしましたが、それは患部のリスクに気付いていないだけ、ということも多々あります。こればっかりは経験を積むしかないです。
マニュアルとか作れないんですか?
A 難しいです。先日、やはり整形にかかることをお勧めした患者さんの場合も、問診し、触診し、患部を動かしたりした際の患者さんの反応などを観察していて「これはちょっとおかしいぞ。」と気付いたんです。コレといったパターンがある訳でなく、施術をしている中で患者さんの反応や患部の可動域などにより、ピンとくるんです。これは経験がないと難しいんじゃないかなと思います。
それを聞くと、肩こりくらいならアレですが、身体に少し痛みを感じるような場合には、経験豊かな接骨院に行かないと怖いですね。
A 怖がらせるつもりはないんですが、経験が重要というのはどの業界でもある話だと思います。我々の場合は、患者さんの身体の中を覗ける訳ではないので、触診し動かして、身体の中がどうなっているのかに気付かないといけないのです。それにはやはり経験と日頃の鍛錬が必要になると思っています。
なるほど、自分の身体を大切に思うなら、身体に対しての知識と技術を持っている先生に診てもらうべきだと思いました。
A 「マッサージ店」も気軽にマッサージをしてもらえるという特長があります。それぞれの特長をよく理解して頂いて、使い分けていただくのがいいのかなと思っています。

あけぼのばし商店街の未来

最後に、あけぼのばし商店街の会長となられましたが、ここをどのような商店街にしたいとお考えですか?
A 一番強く思っているのは、「敷居を下げたい。」ということです。商店街というのは、元々、街の一部に組み込まれているものであり、百貨店での店員と客というような明確な区分けはなかったと思うんです。
お客様も“仲間”みたいな?
A そう。“仲間”という言葉がいいかどうか分かりませんが、商店街はただの商売の場ではありません。子供が安心して歩ける街の安心安全を担う場であり、高齢者が集うコミュニティの核でもあります。商店街に来る街の人を、“お客様”と対岸に見るのではなく、もっと近く、一緒に街を盛り上げていくために同じテーブルについている“仲間”のような存在だと考えたいのです。
なるほど。「あけぼのばしハロウィン」も、元々そのようなイベントだったんですよね? 近所のお母さんたちがやり始めて、商店街が協力するようになって、って。
A そうなんですよね。商店街という組織で凝り固まるのではなく、地域の町会、学校を始めとする色々な団体とも連携して、地域の皆さんがコミュニケーションを取るための“場”となれることを目指します。
ありがとうございます。そんな“場”が作れたら最高だと思います。これからも、商店街のこと、街のこと、よろしくお願いいたします。

[編集後記]
() 記事では一度しか書いていませんが、「敷居を低くしたい。」という言葉を三輪さんは何度も言っていました。
防犯や防災といった街を守る活動では町会が主役ですが、町会は少し範囲が狭いと感じることがあります。その点、商店街は周囲の町会は全てお客様ですから、うまく連携して町会を助けてあげられるような存在になれる可能性があると思います。
会長とのインタビューを終えて、敷居を低くして、街の皆さんが集うような商店街を会長と共に目指したいと思いました。

三輪接骨院

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