[加盟店向け]商店街に入る意味が分からない

[この記事は、加盟店及びこの地で開業することを考えてくれているお店向けの呼び掛けです。悪しからず。]

ここは「あけぼのばし商店街」という新宿駅から都営新宿線で2駅の曙橋駅前にあるしがない商店街です。「あけぼのばし商店街」のことを書いてあるブログの記事などでは「さびれた」「盛り上がりに欠ける」等の文章が目につきます。

反論する気はありません。自分たちでも、まぁ、そんな感じの印象だろうと気付いています。 メディアでは、͡商店街というと、このご時世でも盛り上がっている「戸越銀座」や「ハッピーロード大山商店街」などが紹介されていますが、うちとは規模も商圏人口も違い過ぎて参考にもなりません。

更に、うちは今、大ピンチを迎えています。 商店街の街灯が、ずさんな工事のせいで、新しくしてから数年しか経っていないのに灯りが点かなかったり、傾いたりしています。アーチの時計もしばしば止まります。

この工事をした会社は既に倒産し、修繕費用は商店街で捻出せざるを得ず、うちのような予算規模の小さな商店街では、この費用を賄うために、2~3年は何のイベントもできそうにありません。販売促進策を何もできないなんて、商店街の意味がありますか?

ただでさえ「さびれた」商店街なのに、数年間は予算上何もできないなんて。。。 「商店街に入る意味が分からない」と個店から言われることもあります。

でも、このまま「あけぼのばし商店街」を廃れさせてもいいのでしょうか。そもそも、商圏が小さい街にある商店街は、何をするべきなのでしょうか。

仲間を作る

商店街の予算を使えないとはいえ、各々の店舗の営業活動は日々続きます。うちに出店してくれる店舗は、何を求めているのでしょうか?

勿論、商売で成功したいと思って出店するのですから、儲けに直結するようなことが一番ですが、そんな施策、なかなかありません。そんなアイデアがあったら、みんなやっていますし、どこかがやったらすぐに真似をされて陳腐化しています。

では、そんなある意味“運頼み”の宝くじのようなものではなく、少しずつでも商売がうまくいくようになるための手段を商店街は提供できないものでしょうか?

私は、それこそが『仲間』だと思うんです。 『仲間』というと、肩を組んで仲良く、みたいなイメージになっちゃうかもしれませんが、「商店街のメンバーとして、同じ方向を向こう!」くらいの意味です。

お客様が求めている情報のレベル

少し話を変えます。 今、自分たちのホームページを持っていない商店街の方が少ないと思います。でも、その商店街のページで、加盟店のメリットに直結する情報を掲載できているものはどれくらいあるでしょうか?

情報には、いくつかの段階があると思います。

1.基本情報 店名や場所、営業時間などです。
⇒これは色々なサイトで見ることができます。また、区や市などの行政が進めるべき施策も、この基本情報を正確に掲載することでしょう。
2.広告宣伝 自社ホームページなどがこれにあたります。
⇒ここに予算を掛けられず、「食べてもらえれば」「一度使ってもらえれば」分かってもらえるのに!と思っている店主は多いでしょう。
3.パブリシティ 取材記事のことですが、実際に雑誌等が取材に来てくれるなんてことはまれでしょう。
⇒このレベルこそ商店街の出番なのでは?と思っています。商店街は、行政からも認められた“公的な”組織でもありますし。
4.クチコミ これはコントロールできませんし、全国区のIT企業が手掛けていますので、我々が手出しすべきレベルの情報ではありません。

今は、商店街を歩いている人でも、入るお店を決める際はネットで調べてから、という時代です。

よく「うちは、地場の商圏のお客様だけだから」とか「店の前を歩いている人が入ってくれるくらいで」等と言うお店がいます。そういうお店こそ、今こそWEBに情報を掲載するべきなのです。でないと、新規のお客様を獲得することは難しいでしょう。常連だけに頼っていては先細りです。 では、そのWEBに掲載すべきなのはどのような情報でしょうか?

パブリシティ

パブリシティ」というと、雑誌やTVなどの取材というイメージですが、要は、お店や店主の情報を深掘りした情報の提供です。

自社ホームページでいくらいいことを謳っても、「所詮宣伝だから」と割り引いて受け取られるのに対し、パブリシティ記事だと俄然信ぴょう性が増します。商店街は、行政から認められた公的な組織でもあるので、そのホームページはGoogleなどの検索でも上位に表示されることが多いです。

商店街加盟店の情報は基本情報だけでなく、取材した上での、「店主の想い」や「そのお店ならではのウリ」などをしっかりと紹介する必要があるのだと思います。

あけぼのばし商店街では、この取材者に、地元の有名人を起用しています。街を歩いているとよく会う地元の方がお店を訪問し、店主と会話しながら食事をしたり、買物をするというシナリオです。

これこそ、『商店街の仲間』を応援するためにやらなくてはいけないことだと思っています。

※商店街に加盟するからこそ、地元の有名人をキャスティングできるのですし、お店側にとってもプラスは大きいと思います。

CSR

CSRだと「会社の社会的責任」になってしまうので、SSR(Syoutengai Social Responsibility)とでも言った方がいいかどうか分かりませんが、要は、利益だけを追求するのではなく、社会的な責任も果たしながら地域と一緒に成長する、ってことです。

会社員の方と話していてたまに思いますが、商店街は、この考え方においては、企業のはるかに先を走っていますよ。

『商店街』は、地域のインフラとして、よく子供の見守りや保護について保護者(PTA)からお願いされます。大災害を想定した場合も、地域を支えるサービスセンターとして期待されています。

別の言い方をしますと、商店街の役員は、こうした会議やらお願いやらへの対応に、かなりの時間を費やされます。これらの負担を引き受けているのも、『商店街』はただ利益を追求する場所ではなく、地域を支えて、地域と共に成長するべき組織だと認識しているからです。

CSRの情報発信

このような社会的活動を行っているということについての情報発信が商店街には足りません。

あけぼのばし商店街でも、近くの小学校から2年生の「お店探検」、6年生の「職場体験」を受け入れています。それぞれ、子供が来る午前中は仕事になりません。それでも、地元の子供の成長の糧になれば、と参加店は快く受け入れてくれます。

商店街としては、このような地域に貢献しているお店や施策をもっとレポートして、外に向けて発信するべきなのだと思います。そして、お店側は、商店街の仲間として、地域の信用を得るチャンスに繋げてもらえればと思っています。

地場での商売こそ仲間が必要

商店街で商売をやろうと決意してくれたお店こそ、その商圏に既にネットワークを持つ商店街の先輩を頼ってもらいたいと思います。

実際にそこで商売をしている人ならではのマーケット分析もありますし、お客様の傾向なども知っています。ナショナルブランドがあるお店は別ですが、新たに開業するのであれば、商店街のネットワークを使わない手はありません。

加入の勧め

ここまで「ここ2~3年は何もできない」とまで書いておきながらですが、我々も仲間が切実に欲しいです。 ​先日も、商店街の仲間で集まって、ワイワイガヤガヤと相談していて、以下のような話をしていました。

個店のホームページのSEO向上
GoogleMap登録の支援や、店内360°画像の撮影等
パブリシティ記事の更なる充実
飲食店だけではなく、物販店でもレポート記事の作成等
試食会やオープニングイベントのレポート
新規開店のお店の試食会の開催やオープニングイベントのレポート記事を掲載等
電子決済への対応
結局どこの決済手段から始めるのがいいのか等

お金がなくて大きなイベントは開催できなくても、『商店街の仲間』で集まって相談する中で、自分の商売のヒントも生まれるかもしれません。商店街を個々の店舗が活用しながら、一緒に盛り上がることができれば、こんなにうれしいことはありません。

加入の相談は、左メニューの「お問い合わせ」から連絡をください。私たちは、この街で一緒に商売ができる仲間を求めています。

文責:販売促進担当役員 野中(不動産鑑定士[バイヤーズエージェンシー])